新調したクッカーシステムの話をする前にまず、私は既に自慢の(?)クッカーシステムを持っています。
コロナ禍に連日の雨模様。 このところすっかり引きこもりになってしまいましたので、いつか行けるはずの山行に思いを馳せながら、クッカーのメンテナンスがてらそのシステムについてちょっと考えてみました。 システムなんて大袈裟に書きまし[…]
ソロ用としては全体としてちょっと重いのですが、現状なんの問題もなく使用しており、雪山でも使えています。
しかしあるとき、山の中でこのクッカーシステムを使い、魔法瓶へ入れるお湯を沸かしているときにこう思いました。
私のクッカーシステムの中核をなすバーナー、SOTOのアミカスはシンプルな機能ゆえに軽量なのですが、その分華奢で耐久性には不安がなかったわけでもありません。
そこで、次の選択肢として検討の俎上にのってきたのが、より原始的な火器であるアルコールバーナーです。
アルコールバーナーの構造はこの上なく単純で、細かいパーツもないため、故障などで使用不能になる可能性は限りなくゼロに近いでしょう。そのほかにも、ガスバーナーと比較した場合のメリットも多いです。
というわけで、ここから先はアルコールストーブのメリットとデメリットを検証するという名目で、エバニューのチタンアルコールストーブとクッカーセットを購入してしまった自分への言い訳を展開しつつ、この超軽量システムについて紹介していきます。
そもそもアルコールストーブとは

アルコールストーブは、理科の実験で使うアルコールランプと同様に、アルコールを燃料として使う器具です。アルコールランプでは芯に染み込んだアルコールが揮発して燃焼するのに対し、アルコールストーブは芯がなく、燃焼したアルコールによってアルコールバーナー自体が温められ、アルコールの揮発を促します。
一般的に火力の調整等は苦手(できない)であり、凝った料理を作るためには全く向きません。
手本にすべき先輩登山者たちの中にも山中でアルコールストーブを取り出す人はそうそういないせいもあるかもしれませんが、アルコールストーブの認知度はおそらくガスのそれには及ばないでしょう。
キャンプブームによって色々なキャンプギアが世に認知された現在ならいざ知らず、登山を始めたときの私はアルコールストーブという道具の存在すら知りませんでした。しかしそれでも、今私はアルコールストーブに魅力を感じてなりません。
それはなぜか。私の考える、アルコールストーブのメリットを挙げていきます。
アルコールストーブのメリット
私の考えるアルコールストーブのメリットは主に以下の4つです。
- 壊れない
- 軽い
- 燃料の計算が容易
- コンパクト
壊れない
可動部分や突起部が全くないため、砕け散ることでもない限り使用不能となる故障はあり得ないでしょう。
冒頭でも書きましたが、登山という状況で道具に求めるのは「使えること」です。壊れにくさや修理のし易さは、時に便利さに勝るメリットです。
軽い

私が今回購入したのはエバニューのチタンアルコールストーブ。非常に軽量なアルコールストーブです。
おそらくアルコールストーブ界ではもっともポピュラーなトランギアの真鍮製アルコールストーブの重さ110gに対して、エバニューのチタンアルコールストーブは、実測値でわずか36g。
登山において軽量であることが絶大なメリットとなるのは言うまでもありません。
燃料の計算が容易

ガス缶の場合、使用する分だけを携行するということはほぼ不可能に近いです。
また、重さを測ることで一応残量を確認することができるものの、やはり中身が見えない不安から、残量に余裕のありそうな(限りなく満タンに近い)ガス缶を持っていってしまうのが人情です。
さらに、そうして中途半端に残ったガスの処理も悩ましいという、小回りが利かない煩わしさがあります。
その点アルコールストーブなら、どのくらいの量でどのくらいのお湯を沸かせるか把握しておけば、必要な分だけを持ち出すことも容易ですし、小分けにすることもできます。
コンパクト

バーナー本体のみで考えればアミカスもかなりコンパクトですが、燃料とセットで考えた場合、最小構成でのコンパクトさはアルコールストーブに軍配があがります。
バーナーがコンパクトになれば、スタッキングを前提としたクッカーの選択肢も広がるというわけです。
燃焼音が静か
人によっては、ガスストーブの「シュー」という燃焼音をうるさいと感じるようです。テント場で多くの人が休んでいる時間、風のない日は音が気になるかもしれません。
アルコールストーブなら燃焼中もほぼほぼ無音なので、静かな環境でも気兼ねなく使うことができます。
アルコールストーブのデメリット
以上のように、アルコールストーブには多くのメリットがありますが、当然デメリットもあります。
途中で消化できない
ガスストーブであれば、用が済んだらいつでも消化することができますが、アルコールストーブは基本的に一度着火したら燃え尽きるまでノンストップ。
消化用の蓋が付属する気の利いたアルコールストーブも存在しますが、エバニューのチタンアルストにはついていません。
風に弱い
アルコールストーブはアルコールの自然燃焼を利用する仕組みなので、一般的に風に弱いです。
別途ゴトクが必要
アルコールストーブの上に直接クッカーを載せることはできないため、別途ゴトクを用意する必要があります。
デメリットを解消するエバニューのシステム
スタンド

上に挙げたデメリットのうち、「風に弱い」「別途ゴトクが必要」というデメリットを解消してくれるのが、エバニュー純正のアルコールストーブ用スタンドです。
これ一つで風防・ゴトクの2役をこなす上に、後述するクッカーにスタッキングすることができます。
チタンクッカー

450cc程度の容量のチタンクッカーです。
特筆すべきはその圧倒的な軽さ。手に取ってみると驚きます。
容量が容量だけに非常にコンパクトですが、思い返すと一度に沸かすお湯の量が500cc以上になることはほとんどなかったような気がします。これぐらいがちょうどいいのかもしれません。
最近モデルチェンジした?
実はこのクッカー自体は以前から気になっており、アウトドア用品店で触って確かめたりしていました。軽量性を重視して非常に薄く作られているため、耐久性の面で少々不安があったため今まで購入に踏み切れなかったのですが、最近モデルチェンジし、ロゴが変わっただけでなく剛性が高まったような(?)気がします。
型番を調べてみると、前モデルがECA268R、現行モデルがECA538。ロゴが控えめになりましたので、気になる方は注意してください。
本体をグーっと掴むとフチの部分がさすがに変形しますが、蓋をつけた状態ではそこが補強されるため、収納時に潰れてしまう心配はほぼないでしょう。
「途中で消化ができない」というデメリットに関しては、エバニューのシステムでは解消することはできません。が、そんなものは蓋を自作するか、経験を積んで必要なアルコールの分量を正確に予測できるようになればいいのです。

ちなみに、今までのクッカーシステムも一式をクッカーの中に収めていましたが、大きさを比較してみるとこんなに違います。


一式の重さも、比較するとこれだけ違います。
まとめ
アルコールストーブの話が中心になってしまいましたが、この記事で一番言いたかったのは、エバニューのチタンアルコールストーブ+クッカーというシステムが、信頼性と軽量性という面でとても登山に適しているということです。
料理には向きませんが、お湯を沸かすというシンプルな機能に注目してみれば、生き残るための必要最小限の道具として機能美を感じるシステムですし、チタンの質感はやっぱり所有欲を満たしてくれます。
ここから経験値を積んで、アルコールストーブを使いこなせるようになっていきたいと思います。