登山靴は自分の身体と大地を繋ぐ重要な装備。山において登山靴の綻びは生命の危険に直結するため、適切なメンテナンスで万全の状態を保つことが重要です。
頭ではわかっているものの、皮革製の登山靴の場合、土を落とし、洗い、乾燥させ、クリーム等で保革し、防水処理、保管…と、なかなかに作業が多く、忙しい時には適切なタイミングで手入れできないこともよくあります。
そんなとき、コロニルのスプレーを使ってしまえば、手を汚さず、手軽に保革・防水処理を行えるためとても便利です。
スプレーの役割
【特徴】起毛皮革を新品時の柔らかな美しい風合いに維持し、フッ化炭素樹脂が皮革繊維に深く浸透し防水効果を与え、水や汚れから皮革を保護します。
と裏に説明が書いてあります。
革靴の手入れといえば、ミンクオイルやワックスなどが真っ先に思い浮かびますが、粘度の高いこれらの製品は塗り込むと皮革の風合いが変わることがあります。
このスプレーは撥水剤と栄養分を有機溶剤にとかしたスプレータイプなので、革の表面の質感、風合いにあまり影響せず手入れができます。
スプレーの対象素材
このスプレーを使えるのは、スエード、ヌバック等の起毛皮革製の靴、バッグ、ウエアとなっています。スエード、ヌバックは登山靴によく使われる素材なので、これを買っておけば色々な登山靴に使用できます。
先にも書きましたが、風合いが変わることを許容できるなら、保革のためにスエードやヌバック素材にワックスを塗っても大丈夫なようです。モンベルのフットウエア説明書にも同様の記載があります。
表革(スムースレザー)にも使える?
登山靴は化学繊維やヌバック、スエード、スムースレザーのパーツを組み合わせたデザインになっているものが多いです。私の3シーズン用登山靴のアルパインクルーザー2000も、ヌバックとスムースレザーのコンビ素材となっています。
対象素材がはっきりと書いてある以上、パーツごとに保革剤を塗り分けなければならないのか?と思ってしまいますが、私は一律全パーツにスプレーしてしまっています。
なぜなら、ヌバックもスムースも、仕上げが違うだけで革は革のはず。ヌバックに浸透していい成分がスムースに浸透してはいけないということはないでしょう。
一応他にも根拠があります。
実は、同じくコロニルの最高級保革防水スプレーの1909シュプリームプロテクトスプレー説明では、対象素材として「スムースレザー」が明記されています。
今回使用したヌバック+ベロアスプレーとの違いは油分で、1909シュプリームプロテクトスプレーには比較への浸透力が高いシダーウッドオイルが使われているようです。が、撥水成分は同じフッ化炭素樹脂ですし、このスプレーがスムースレザーにも使えるなら、ヌバック+ベロアスプレーも使えるはずです。
実際に使ってみると…
ヌバックレザー(アルパインクルーザー2000)に使用
ヌバックとスムース、一部スエードというミックス素材の登山靴。
初期メンテナンスとして全体に吹きかけ、ブラッシングしてみましたが、新品時と見た目上変化がありません。
スエード(アルパインクルーザー3000)に使用
厳冬期用の登山靴、アルパインクルーザー3000はスエードとファブリックのミックス素材。
スプレーには油分が含まれているため、化繊部分には(できるだけ)かからないように吹いてみました。
スエード部分についてはやはり風合いに変化はなし。ですが、ちょっと乾燥気味だったのがなんとなく復活した感じがします。
まとめ
いかがだったでしょうか。
メンテナンスで大事なことは、やる気が出た時にガッツリやることではなく、「必要な時にちゃんとやること」です。
スプレーをひと吹き、というのはなんとなく横着しているような感じがしますが、手間を省略することでこまめに手入れをする気が起きるなら、こういうスタイルも「アリ」なのではないでしょうか。