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登山にトレッキングポールは「必要」なのか?

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登山道で見かける人たちはほぼみんな手にしている、トレッキングポール。にもかかわらず、「登山 初心者」等で検索した時に紹介されている最低限の装備にはまず含まれていません。みんな持っているから必要なものなのかと思って、漠然と購入している方も多いギアの一つではないでしょうか。

結局、トレッキングポールは「必要」なのか?トレッキングポールが登山で果たす役割、必要性について考えてみます。

結論:人による、状況による!

いきなり結論で申し訳ありません。

トレッキングポールが必要かどうかは、その人の体力や装備、登山道の状況によるとしか言いようがありません。少なくともレインウエアのように、持っていなければ命に関わるような、「超必須」ギアではないということです。

必要なのか?という疑問は初心者の方にありがちだと思いますが、その点についてもメリット・デメリットを見ながら説明していきます。

トレッキングポールの役割

まずは一般的に言われる、トレッキングポールの役割と、メリットについて。

疲労の軽減

一番わかりやすい役割、メリットは歩行による疲労の軽減です。

見ればわかりますが、トレッキングポールを持つことによって擬似的な四足歩行となり、通常2本足で受け止めている体重と衝撃を分散することができます。

バランスの保持

通常の歩行では、一歩を踏み出すために一瞬一本足に体重が全て乗るため、足元が不安定な登山道では、足首の筋力とバランス感覚がないと体勢を保てないリスクがあります。

トレッキングポールを使用していれば、足を踏み出す時に複数の支点でバランスを保持できるため、体勢を崩して転倒する危険を減らすことができます。

推進力アップ

効率的にトレッキングポールをつくことで、上半身の力も推進力に変えることができます。下半身の筋力に自信がない場合は、登りで特に有効に働きます。

デメリット

ここまでのメリットをみてみると、持たない手はない道具のように思えますが、実際デメリットも少なからずあります。

荷物が増える

一番のデメリットは、純粋に荷物が増えるということです。

使用中は気になりませんが、岩場など手をフリーにする必要がある局面では、トレッキングポールはザックに収納する必要があります。そうなってしまえば便利なトレッキングポールもただの荷物。

登山はとにかく身軽が一番。荷物は少ないに越したことはないのですが、トレッキングポール自体が重量物としてスタミナを削ってきます。

上半身の疲労

上半身を使って歩行できるということはメリットでもありますが、デメリットにもなり得ます。

登山ではトレッキングポールを使用する人でも、日常では流石に二足歩行でしょう。普段使わない筋肉に慣れない動作をさせることによって、かえって疲労が蓄積してしまう場合もあります。

登山道が荒れる

あまり知られていないのかもしれませんが、トレッキングポールをつくことは登山道を荒らす原因になることもあります。

トレッキングポールの先端は尖った「石突き」になっており、そこにゴム製のキャップを付けてあるものがほとんどだと思います。キャップを付けずにトレッキングポールを登山道につけば当然穴が開き、そこに水がたまるようになることで徐々に登山道が侵食されてしまいます。木道の場合でも同じです。

バランスを崩す原因になる

メリットの部分と矛盾するように思えますが、経験上トレッキングポールはむしろ転倒の原因になることもあります。

どういうことかというと、例えば足ではハマることのない木の根の隙間にトレッキングポールをとられる場合や、トレッキングポールをついた瞬間、ポールが滑ってしまう場合等です。漫然とトレッキングポールに体重を預けていると、即転倒に繋がります。

また、トレッキングポールを持っている安心感からか、足を置く場所を見極めることが疎かになりがちです。トレッキングポールはあくまで補助。基本的に、自分の体は自分の足で支えましょう。

初心者には必要?

トレッキングをするお年寄り

メリットデメリットを考えてきましたが、一番大切なのは「自分の足でバランスを保持できる体力を備えていること」です。初心者の場合は山道での歩き方、バランスのとり方、筋力を身につけるためにも、個人的にはトレッキングポールを使う(頼る)べきではないと考えています。

まとめ

身も蓋もない言い方になりますが、トレッキングポールがあればなんとか登れる、というレベルの山に挑むべきではありません。撤退するという選択肢を常に持ちながら、自分の体力についてよく知り、トレッキングポールをどう使うかを自分で考えられるようにすることが大切です。